2012年01月28日
ばぁる・ひらら:澄川
キクチさんは高そうなスェードの外套を羽織って、厳寒の通りへと出て行ったのでした。我々の入店を見届けてからのことで
す。キクチさんは何処に行ってしまったのか少なからず興味の湧くところではありますが、はてさてオウチに戻られたのでは
無い事だけは暗黙のうちにも此処に居る誰もが共通に認識するところではあるのです。「イッテライシャイマセ」そうして此の
夜の次のゲストは、アメリカインディアンと巫女さんと言うちょっと見にはそうとは気付かない二人連れで揃って葡萄酒好きの
イスパニア好きでたまに韓国好きも入ると言う方でした。初対面ながら適度な距離感と空間の共有はこのお店特有の親近
感や親和を醸成させるものらしく、お互い何処の誰とは知らなくても立派に会話が成立する辺りは、お酒の取り持つメンタリ
ティの解放に一役買っているのです。「食べスマ」氏の登場となって早、全席が埋まり店内は立錐の余地もありません。酷寒
とも言っていいこの夜は静かにそして止め処も無く更けていきます。キクチさんが帰って来ました。一斉に席を詰めて、椅子
の入る隙間を拵えます。さて、キクチさん転んで来たそうで、痛いのだそうです。みんな口々に「そうですか、転びましたか。
そいつぁ、痛いでしょう。」とは申しますが、何処で転んだのかとか何処をぶつけたのかとは訊かない辺りは、なかなかのオト
ナの集まりなのです。上等な夜の空に雪が流れ始めました。
一夜明けて、あらとんさんです。何となく足が遠のいていた感がありましたが、本日行って見て正解でした。味がアノ味が、
店名由来の粗・豚が戻って来てました。旨味の凝縮したアノ味です。思い切って動線を意識した厨房のレイアウト変更もあっ
てか、二人体制の応対も無理無くこなしているようですが、如何せん、何かが足りない。そう思ったら判りました。ちょいと気
の利いた女子の笑顔と穏やかな動き、そしてもう少しの外気の吸気があればメガネが曇らずに済むのです。
2012年01月27日
真麺 穂高:大谷地
何がどうなっているのかさっぱり分りませんが、裏日本の東北や北陸では根性出して雪が降っているようだし列島全体が何
処も彼処も寒いのだそうで、こんなことなら地球温暖化の原因と言われる二酸化炭素の排出などどれほどの影響を及ぼし
ているものなのか、眉に唾をつけてみたくもなろうかと言うものです。それにしても幹線道路の路面の露出は見事なもので、
一体どれだけ塩化カルシウムを散布しているものか、車体の底面やフェンダーの内側にはどれほどの塩分が付着している
のかと思うと、春先になってあっちでもこっちでも消音マフラーがぽろりぽろりと落っこちる様を想像してしまうのです。寒さの
所為か妙にムラナカ系が頭に浮かぶ今日この頃です。オープンの頃に数度行ったきりのこちらに来ます。程々に客が入っ
た店内は採光が行き届いて明るさが清潔さを増します。ムラナカ度88%の醤油です。切り刃のエッヂが利いた麺が特徴的
な一杯です。この麺のお陰でスープの強さが中和されます。開店の時からこの麺であったかは記憶にありませんが、何れに
しても旨い麺ではあります。この町のラーメン事情にあって、懐の深さを自慢できる存在感ある一杯です。
2012年01月26日
和蘭陀屋:平岸
寒さ厳しき折、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。晴れ渡った青空のもと新雪に描くシュプールが眩しいゲレ
ンデなどには危なっかしくて行きたいとも思いませんが、70年代のスキーウェアーを着込んでヒュッテのラーメンを食いに行
こうかと話し合う夫婦です。スキーウェアーは一応、見栄です。魔人Bが見つけたと言う味噌ラーメンだけの限定5食の店
は、18時からの営業でコレクションの対象にはなりそうもありません。そう言えば東区の夜営業のお店が建物ごと無くなった
とのことで、環状線を通ってみましたが何処にあったのかすら見当も付きません。結局、未食でした。門限を厳守しなければ
ならない生活を強いられていますと、夜間ふらふらと出歩くことなど到底無理なはなしで、夜のみの営業店はススキノを含
め、殆んど手付かずになっております。それにしても美園のこの辺りで夜営業と言うのは間違いなく何かの秘密結社のアジ
トだと思います。そんな世界規模なスケールの推察を凝らしながら美園の小路を走っていたら、おやっ、クルマ置き場のスペ
ースが空いています。その上営業中の札が出ているとは珍しいこともあるもんだと中を覗くと暖簾は内側に架かったままで
す「おいっ、やってるのかぃ。」と顔を出すと「やっているけど、まだ開けてないョ」「そんなこと言ったって、営業中の札が出て
るじゃないか。」「あらっ、そうなの。」と言ったきり直そうともしないので、「中に入って待ってるわ、ゆっくりやってくれ。」とカウ
ンターの中ほどに腰掛けます。店の中が温まるのと作る準備が出来るのを待ちながら「ほぉ、そうかい5年も持ったかい、そ
ぃつぁたいしたもんだ。昨今のこのご時勢で5年も持てば大上等じゃないか。」などと勝手なことを言いながら、契約の更新を
せずにもう少し立地の好い所を捜す積りだと聞いて「そう言われりゃ、なんだよなぁ、車が停められなくて何遍素通りしたか分
らないなぁ。もう少しなんだなぁ、路駐のし易い所が好いなぁ」などと満更冗談とも言えない不穏当な発言です。「勝手に味噌
作ってますけど、」そう言われて注文してなかった事に気が付きます。まぁ、勝手に作ったと言うことはそれなりに自信がある
訳かと頂きます。おぉ、塩分を抑えたまぁるい仕上がりの味噌です。「ねっ、変ったでしょ。」と得意気に言うだけの事はあるよ
うです。そうかい、この店を畳んじまう前に、そのしょうゆとやらも食わせて貰うしかないのでしょうか。うーん、3月か、まだま
だ雪の奴がいやがるか。
2012年01月25日
千太:中央バスターミナル
何日か振りに寒さが戻ってきました。朝から寒いとは思っていましたが、他人が寒いと言うのを聞いて確信する処は今一つ
自分に自信が持てないからです。久し振りの千太です。ほぼ1年近く来ていません。別に女主人と喧嘩したとか殴られて出
入り禁止になったとかと言う訳ではありません。たまたまこちらに来る用事が無かっただけです。相変わらずの旨い一杯で
す。雑味を感じさせない秀逸な仕上がりは、此処でしか食べられない強烈な個性をさらりと表現しています。人生は斯く在り
たいものです。
旬の話題には乗るほうです。他業種からの参入も相次ぐ牛丼業界です。一体この国の人達はどれくらいの牛丼を食べてい
るのでしょう。あっちでもこっちでも牛丼でおまけにダンピングの嵐では儲かっているのかいないのか私が心配することでも
無いのでしょうが、国庫からの補填も期待出来そうもないし何処かで誰かに皺寄せが行っているのでしょうか。遂さっきま
で、「つゆだく」と言ってやろう意気込んでいたのに、言い忘れたことに気が付きがっくりとうなだれる水曜の午後です。腹い
せに紅生姜と山椒の粉で表面を覆いつくして、少しやりすぎたと思いつつも今更どうにもならず、諦めて食べるのです。安い
ことはいい事です。が、その安さには理由も有れば原因もある筈です。そんなことを考えて食べていたのではアズマシクナイ
だろうと思うのですが、考えてしまうのだから仕方がありません。この国の食糧事情はその供給に関しては相当恵まれてい
ると思うのですが、世界中から金に任せて買い漁ってきている風があって、些かなりと肩身の狭い思いだけはあるにはある
のですが、食べる段になると決まって忘れてしまっているという、便利な性格なのです。
2012年01月24日
まるとも:本通3丁目
薄っすらと降り積もった雪が午後になっても溶けずに滑ります。朝、席に着くや否や蟹歩きで近づいて来たので、金を貸して
くれと言われたらどうしようかと身構えます。「あのぅ、本日、ハンキュウ頂きたいのですが」「ハンキュウ?阪急?半球、あ
ぁ、半休。頭が悪いのは知っていたけど、どっかそれ以外に具合でも悪いのか?」「グアイはいたってイイです。」と抜かしま
す。金でもないグアイが悪いわけでもないとしたら、ナンなんだと思いますが、物の本によりますとこれ以上の詮索はパワハ
ラだとかセクハラだとかに分類されるそうで、自発的釈明を待っていると「だって、今日でもう会えなくなっちゃうんですよぉ。
だから行かせて下さい。」と、今日でもう会えなくなる人よりも10歳も年上が言うのです。おっ、希望を捨てないことは好い事
だ、だが待てよ。逢えなくなるって、オマエ、逢った事があるのか?見たことがあるのと逢った事があるのは決定的に何かが
違うと思うぞ。こんな状況下でへらへら笑っている訳にもいかずさりとて、労働者の権利に守られていると錯覚している人間
を相手に社会的倫理を講義しても一銭にもならないし、口をついて出たのは「はんかくさいでないかい。」という一言だけでし
た。とってもじゃないけどこれ以上関わると、バカがうつりそうなので、ラーメンです。混んでいるかと思ったら、そうでもありま
せん。前客が出て行けば後客が来るという理想的な展開です。そうして皆さん丼を上げテーブルを拭いて帰ります。そんな
客筋ですがカウンターの中の壁に貼り紙がしてあります。使った爪楊枝やティッシュをカウンターの上に置いたままや丼の
中に入れたりしないでくれと言う内容です。このお店においてすら未だそんな客がいたのかとため息です。
羊ヶ丘通りの花丸です。村中ラーメンを何処よりも忠実に承継している一杯です脂、塩分、旨味調味料の量。熱さスープの
量、麺の茹で加減。純蓮や純連よりもムラナカです。そうしてスープは脂が邪魔をして飲めません。鍛え直して出直します。
札幌ドームの駐車場の入り口は「彩未」並みにならんでます。
2012年01月23日
まるたか:北11条
まだ見ぬ一杯も魅力的ではありますが慣れ親しんだ一杯にも懐かしい一杯ですら、心擽られるものがあるのです。結局、何
だって好いのだろうと随分と乱暴なことを仰る向きもあろうかと思いますが、そんなことはアナタ、イワユル、ナンですから、
其処のところはひとつ穏便に済ませていただきたいものなのです。「今週も寒いっちゅんでショ。」っと朝から気合を入れられ
て放り出されるように勤めに出される悲しい身です。どうして早く寝たら早くに目が覚めて、遅く寝たら寝たで早くに目が覚め
てしまうのか、朝からずぅっと考えているのですが、眠くてどうにもなりません。本当にラーメンどころでは無いのですが、こん
な時こそラーメンです。とは言っても何処に行くかも決めずに財布を持って出て行くわけですから、無計画のつけは時間で代
償を払わなければなりません。此処もなんだしアソコもなぁと思っているうちに4区を廻って辿り着いたのはこちらでした。大
雪になればなるほどクルマが停めやすくなるというナゾナゾのようなラーメン屋さんです。まったく以って旨いラーメンを食わ
せてくれるのですが、此処の接客の好さは実に気分が良いのです。店主夫婦の応対は言うに及ばず、フロア係のアルバイ
トさえも声の張や笑顔の作り方を見事に演じ切ってくれるのです。注文を取って厨房にオーダーを入れた後のふっと見せる
素の顔とのギャップが如何にも面白く、じっと見てたら目が合ってしまい照れるのです。
さて此処のカレーは旨い、と思う。此処ってどこだ?同じ300円ならその量に於いても、具の多さに於いても遙かに凌いでい
る。だから何処を?何と言っても米が旨い。
2012年01月22日
福来軒:西岡
弛んだ寒気に幹線道路は雨水が溜り泥撥ね走行の往来です。正月休みから三連休とほぼ行く処は行き尽くした週末です。
何処に行くんだと聞いたら、「判らない」から「知らない」になり、「なんで私が考えなきゃならないのサぁ」っと逆切れする配偶
者です。要望希望を聞いてあげようとする度量の広い優しさがどうして理解できないのでしょうか。それでも根気よく、愛情を
込めて訊き倒したら「福来軒」と言い放ちやがりました。まぁ、それもイイかと西岡の坂を上ります。途中、嘗て伏見の山麓の
裾野にあって、何故か閉店したと思ったら、数年して惚然と豊平に店を構えあっと言う間に畳んだと思ったら、今度は澄川に
出現したと言うお店の名前を突然持ち出して「チョットアンタ、まさか行く気じゃ無いべね」っと妙な牽制をうって来ます。釘を
刺すにしても少々唐突過ぎないかと思いますが、豊平に在ったときに相当手痛い思いをしていますので、まぁ、学習効果の
表れと言ってもイイのでしょう。それにしてもそこまで云うことは無いだろうと思うのですが、結構根に持つタイプだったので
す。要望通りの店先にクルマを停めて階上の暖簾を潜ると、店主が居ました。今日も店主が鍋を振ってます。ずっと店に出
ているのかと配偶者が聞くと、2年前ほどから自分でやるようになったと言います。「ヒマだしさ、人手を抑えてやってるの
さ。」そいつは好かった、とは言えませんでしたが、昔の福来軒が湯気の向こうから顔を出します。味噌と醤油の麺を変える
小技も利かせます。「・・・・・しょっぱくなかったかい。」「いやっ、なんもだ」やっぱりアンタの作る一杯が、サッポロです。
2012年01月21日
men-eiji HIRAGISHI BASE
この処、おんな名前のメールが次から次とやって来ます。所謂迷惑メールと言うヤツですが、迷惑メールにも分類されれず
に受信しているものも多くメールを開いてボチらぼちらと消して行くのが日課になっています。内容は大金を頂けると言う願
ってもいない有り難いお話ばかりで眩暈がしそうですが、そこはそれぐっと理性を働かせて涙をのんでクリックするのです。
兎角、人との交流が少なくなって淋しい時間を過ごす身としては、こんなメールでも来ないよりはましだろうと思い、ぱったり
と迷惑メールが途絶えてしまったその時には、これまた随分と淋しい思いをするに違いないと考えるのです。そんなことを考
えながらこちらに伺った訳ではないのですが、正月が明けて、来よう来ようと思っている内に3週間も経ってしまって、まったく
月日の経つのは早いものです。途中バラエティ番組の邪魔が入ったりしましたが、本日はノーマルな幕開けの営業となって
おります。この処、行く度に一緒になるご高齢の夫婦も開店に間に合うように出て来ました。この様な寒い中にも拘らず揃っ
ての御来店は恐らく「毎日、来てるんでないべか。」っと配偶者が推測するまでもなくスタンプカードはほぼ、夏休みのラジヲ
体操並みの押印の羅列で在ろうと思われるのです。事ほど左様に、ますます磨きの掛ったこちらのメニューは若い女の子受
けする店内模様をものともせず、斯くも幅広い年齢層に支持されるに至っていることは、そうか、移転してし正解であったと
言うべきなのでしょう。
2012年01月20日
常:羊ヶ丘
日を重ねるごとに寒さが増します。此の儘いくと一年後にはどうなってしまうのか、愉しみです。関東では初雪が降っている
そうで、この場合の初は今シーズンの冬になって初、なのか、今年になって初、なのかちょっと絡みたくなるのは、多分暇な
のだからだと思います。耳の遠い人と話をすると遂、話し声が大きくなるものですが、もともと声がでかいところに持ってき
て、独り言まででかいと煩いを通り越して騒音になってしまうものです。その上、態度ががさつでばたばたと落ち着きがない
上に、言葉使いがぞんざいで助詞も副詞の呼応も形容詞も使えないときていますから、私のように優美とか優雅とか以外に
形容のしようのない高い教養に裏打ちされた人格者から見ると、羨ましいぐらいの野生です。こういう人に限って「私なんか
サ、シンケイシツだから」っと声高に言うものです。この世は言ったもの勝ちなのです。私が言うのだから間違いありません。
豊平区は幾つかの心霊スポットと数箇所の不思議と区役所からなっています。その不思議の一つを横目で見ながら、羊が
丘展望台の入り口の横に入ります。羊が丘展望台には入ったことはありません。なにしろ入場料を取られます。何が悲しくっ
て金を払ってまでして羊を見なければならないのか合点が行きません。もうすっかり発注方式が定着した感がありますが、
アノかあさんはたまに手を抜きますから、矢張りしっかり申告をするようにしたほうが好いでしょう。トッピングを聞いてくるか
と思ったら、スルーされてオイオイと思っていたら、厨房の奥から毛蟹が言います。「ニボシイレマスカァ?」「おぅ、それそ
れ。」これがなんとも旨いときているから堪りません。こう言うものは欲をかいちゃいけません。マー油追加の細麺で焼き味
噌にしてやろうなんぞと思っていましたが、煮干しオンリーで正解でした。
2012年01月19日
らーめん吟屋:曙
フェンダーの内側に氷が入ってハンドルを切る度に、タイヤと擦れ合う音が聞こえます。氷とタイヤではどちらが固いのかと
心配になりますが、スタッドレスタイヤも中々頑張っているようでこの寒さの中、元気に廻っているようです。手稲区曙と言っ
たらそれはもうこの町でもエラク北のほうなのです、もうその先は日本海でその先はロシアです。道は悪いし何も曙くんだり
まで行かなくったっても良さそうなもんですが、其処はナニで気持ちとは裏腹に身体の方が勝手に反応します。もうこうなると
人のことはとやかく言ってられないのですが、人に言われるとムッとくるのはまだまだラーメンの喰い方が甘いからだと思い
ます。まっ、来てしまったものはしょうが無いので取敢えず暖簾を潜ります。前のお店の造作と変わりの無い店内です。オー
プン初日らしい初々しさが漂う店内です。食い終わってマッタリトしているじいさんと出来上がりを待つ三人連れです。身のこ
なしも手付きも段取りも素人らしさはありません。麺はカネジンでパイタンスープとの仕上がりもまずまずです。然しながらこ
の通りで店を張るには特徴がありません。然程ラーメン人口が多そうでも無いこの一帯にしてはやけにラーメン屋が多い地
区ではあります。ラーメン専門店には厳しいエリアだと思います。無難な味と無難な値段では難しい時代となりました。
去年はこの一杯にラーメンとラーメン屋の原点を思い知らされました。皮肉なものです。
2012年01月18日
かわなみ食堂:澄川
食い終わった丼をカウンターの上に上げて世間話に興じて居る前客は永い付き合いの常連なのでしょう駅から歩いて35分
で着いたと言っています。一体何処の駅なのだろうかと一瞬考えて止めておきます。判った処で中間テストにも出ないと思い
ます。軽口のやり取りに嬉しそうに応じるかぁさんの化粧が何時もより濃いように思えるのは気の所為でしょうか。ラジヲは
何時も通りのSTVが流れ、緩い空気が店中に漂います。もう一人の前客の大盛りの塩をこさえてから、こっちを見て「味噌だ
ったね。」と念を押します。もやしを一掴み中華鍋に入れて、火を入れてから二度三度煽ります。何時の間に入れたのか味
噌だれは鍋の中です。頃合いを見て丼ぶりにスープを流し、平笊で麺の湯切りです。ほいほいと切ったら丼ぶりに麺を移し
ます。切りたての叉焼を載せ、メンマを摘み、葱を載せます。一瞬、間が開いて、味の素の業務用缶から海苔を出して載せ
て呉れます。吟味して添えて呉れたレンゲはなんとも使い勝手の良くない木製の直角しゃもじです。大盛りの塩には「味の調
整は出来るからね。」と言ったのに、私には云って呉れません。しょうが無いので食べ始めます。そうしたら、こいつがなんと
も旨いと来てやがるから困りものなのです。なんだってまた、こんな処のこんな一杯がフツーに美味かったりしやがって、チ
キショウメ、やられちまったな、ナンテ思いながら勘定済ませて出て行こうとする後ろから「足元滑るから気を付けて」なんて
言われて、思わず「はいっ」と返事をしてしまうのです。
2012年01月17日
小太郎:月西
空知はとんでもない事になっているようで高速も止ればJRも止ってしまう始末で、配偶者に言わせるとにっちもさっちもトイ
レにも行けない有様なんだそうで、まったくナニを考えて生きているのかほとほと呆れ返ってしまいます。其処へ行くと私なん
かは日々精進の毎日で、ナンダか良く分りませんが大変なものなのです。本日は某所で聞き込んだゼッピンネタを体感し、
再確認しようと遙々、西区までやってきました。噂に因れば塩野菜が絶品らしいのですが、そんなものはメニューに無く噂の
域を出ていないようです。もう少しで正午のどんが鳴ろうと言う頃合いで店内はテーブル席にひとりで座っている客と同じくテ
ーブル席に2人連れが一組の三人です。絵に描いたようなオヤジばかりでその後入ってきた客たちもまたオヤジのオンパレ
ードで、これだけオヤジが揃うと或る意味、何かの秘密結社か宗教団体の集会のようです。勿論、浮くことも無く何の違和感
も感じずに座っています。歳を取ると男女の区別無くカウンターよりもテーブル席を好む傾向が強いようで、これは子供の頃
からの食堂文化の中でテーブル席とか桟敷席に馴染んできた所為だと思われますが繁盛店ではあずましく座っていられな
いと言うこともあって、この手合いのお店の存在価値があるのです。その某所で仕入れたゼッピンネタですが、その余りにも
深く程々に澱んだ空気が妙に居心地が良くてフツーに思えてしまうのでした。だからという訳ではありませんが、小太郎なの
です。カウンターの上の灰皿云う灰皿を、全部ひっくり返して煙草を吸えなくしてやろうと、二つ目をひっくり返したところで厨
房のオヤジを見ると、煙草を吸ってやがります。駄目だ、こりゃっと云う古いギャグを思い出します。
2012年01月16日
ぴょんぴょん舎・白龍:盛岡
寒い日が続きます。別に頼んでいるわけでも無いのです。こんな風にビシッとシバレル日は冷麺です。南部藩士の血が騒ぎ
ます。澱粉で透き通った抽出麺が冷たいスープに独特の歯応えを愉しませてくれます。別添えのキムチを全量入れると、程
好い辛さが広がります。まったく南部藩に生まれて本当に良かったと思える瞬間です。最後の一滴まで飲み干して、何故か
湧き上がる食欲です。盛岡冷麺と来ればじゃじゃ麺の前を素通りすることは許されません。食券を買おうと並んでいると、縁
も所縁も無いばあさんがショーケースの中の写真を指を指して聞いてきます。「この上のは肉なのかい?」「まぁ、そんなもん
かな。」調子付いたばあさんが更に聞いてきます。「そうすると坦々麺のようなもんかい?」どうしてこの写真を見て、坦々麺
になるのかこっちの方が聞きたくなるのをぐっと堪えて「ゼンゼン、違う。」と応えると、何も言わずにいなくなりました。きっと
坦々麺が食べたい婆さんだったのだと思います。デパートの催事場はいろんな人がいます。いろんな人がいますが、年寄り
ばっかりなのはどうしてなんでしょう。B1グランプリだとかご当地グルメだとか丸で必然性の欠片も無い食い物を見せられる
と哀しくなるばかりですが、じゃじゃ麺におけるその属性は正に日本の近代史そのものです。如何、日本の近代史なのかと
言うと、これから考えるので時間を下さい。兎に角、何だか深いのです。ちーたんたんに至っては、その徹底したエコ振りが
付け焼刃では無い事を示しています。その土地で生まれその土地で愛されている本物があります。
2012年01月15日
つけめん 真:東苗穂
旨いラーメンには幾つかの条件があります。何処其処のラーメンが美味しいとかと言った事ではありません。元々どんな食
い物も嗜好品も含め旨いまずいは好き嫌いと同じ次元で在るものです。或る時は絶対であり、或る時は相対となります。そ
もそもが形而下においてのみ語るべきものに順番などを施して見たり、旨い美味いと連発するのは愚の骨頂と心得ている
ので、極力差し控えるようにはしているのですが、此処で云う「旨い」ラーメンとは自分だけが旨いと思っている、若しくは思っ
ていたラーメンで在って、人様がどう思おうが感じようが、知ったことではないのです。本来食いものとはそう言ったものだと
思っているので、実際に自分で喰ったものしか対象にしませんし、勢い食数も上がって来ると言うものなのです。旨いラーメ
ンの条件の第一は「記憶に残る」ことです。第二は「記憶を辿れる」ことです。そうして三つ目は「記憶を再現」出来ることで
す。旨いラーメンの条件はこの三つに尽きます。一杯のかけそばと言う絵本が一時、流行った事がありました。如何にも有り
そうな一杯のかけそばを親子で分け合って食べると言う涙を誘うものではありましたが、読む人はそこに自分の姿を投影し
然も在りなんと言う惚然たる自己に酔い痴れるのであって、絶対価値としての蕎麦の味や麺の伸び具合をとやかく言う人は
いないのです。然しながら彼の絵本を読んで涙したひとは、等しくそこにしょっぱい蕎麦の味を思い出したに相違ないので
す。そうして今日もまた空前絶後の正体不明な究極の味噌フィーバーを尻目に、食べた中華そばの一杯はソートー好い線
をカッチャキ始めては来たものの、今一つオトキタ風味には辿り着けない惜しいものではありました。
2012年01月14日
Fuji屋:太平
寒気が居座っているらしいのですが、毎日毎日、今日が一番寒いと言われ続けると、だからそれがどうしたんだと言いたくな
るのは多分、寄る歳並みの所為だと思います。昨晩、見たローカル番組が戦後のハリウッド映画が日本と言えばフジヤマと
ゲイシャガールであった事をふと思い出させて呉れました。消化不良と言うよりも、行き先の無い船に乗せられて沖に連れ
て行かれた気分です。番組が始まって30分経ったところで早く終わって欲しいと思ったものの、チャネルの変更に至らなかっ
たのは唯のスケベ根性の表れであったと自覚しています。それでも、経済効果として開店後15分で50食分を売り切ったお
店も有ったとのことは喜ばしい事ではあるのです。「15分って、オマエ。50杯もそんなに早く作れるのか?」と訊く私に「チョッ
ト、はんかくさいデ無いかい。券が売れたって事でしょうヤ。」とタシナメル配偶者です。「それにしたってヨ、アノギョクリンハン
テンのオヤジが三店舗で二日分の300食の麺を作ったのか?苫小牧のかあさんたちが、アノ罰当たりなナルトを配達してく
れるわけ?」と訊くと「そうだべさ。」と憮然として答える配偶者です。まぁ、イズレニシテモ経済の活性化が優先課題ではある
のですから、多少事実を捻じ曲げようと、子供の教育に不適切であってもそんなことは枝葉末節の事なのだと言い聞かせる
辺りは、私も立派な大人になれたものだと思うのです。
2012年01月13日
ぶんぶん亭:中央区
寒い日が続きます。もう少しの辛抱です。確証はありません。気休めとも云います。ジッとしてるとしばれてしまうので、ラーメ
ンです。本当は好きなラーメンなのに、何故か言うのが憚られそのうち忘れてしまって、人が食べているのを見て、おぉ、そう
だった、っと気が付く一杯です。こんな美味しい一杯の味も理解できずに、死んで行ってしまう人が居るのかと思うと気の毒
を通り越して哀しみで思わず笑ってしまいます。「旨いべサ。」「えっ~?ウッソぉ、信じられない。だってにおいがするしょ
や。」などとほざく女どもは相手にはしません。勝手に信じなければ良いのです。そういうヤツにはアノ晩生舎の依田勉三が
どれほど苦労して十勝の土地を開墾したのかなんてキット、判らないに違いないのです。そうです、アノ豚丼でさえ、十勝の
豚は唯の豚では無いのです。ですから帯広の豚丼を喰う時は心して食わなければなりません。十勝の豚は背負っているも
のが違うのです。どう違うのかって、それは豚に訊いて下さい。そうでした、ラーメンです。だから誰が何と言おうと此処のこ
の匂いこそが大事なのです。でも何故か、こちらの一杯を強気で云い切れないのはどうしてなのか、アノ十勝モンロー主義
を地で行く様な店の雰囲気の所為では無いと思うのですが。
2012年01月12日
麺屋おざわ:菊水
確か水曜日が一番寒いと言った筈なのに、木曜日になるとこの冬一番の寒さなんだそうで、お天気オネエサンやオニイサン
達はどうやって自己矛盾を乗り越えているのか興味の湧くところでは有るのです。「何回も三回も・・・」といっている時はそれ
ほど気にしては居ませんが、人が言っているのを耳にすると二回目は何処に行ってしまったのだろうかと気になります。雛
人形が催事場に陳列されていると何故か、近寄っていく夫婦です。三段飾りの前で立ち止まった私の後ろから「あらっ、安い
じゃん。」と言って身を乗り出した配偶者の語尾が急にトーンダウンします。こいつの何処が安いのだと振り返ると、どうやら
桁を一つ間違えたようで、それ以来、意識的に雛人形の話題には触れないようにしている夫婦です。「狭いから、飾る場所も
ないし・・・」「それもそうだな」無い事に意見の一致を見た夫婦です。昨年度、新店オープンのトリを飾ったこちらですが、正
月休みを挟んだとは言え、3週間も経てばそれなりに形になっているだろうと来て見ます。なってました、鍋振りも提供スピー
ドも格段の進歩と言うか慣れが出ています。フロア係の動線が若干遠回りしていますが、直に修正されるでしょう。問題は修
行先と更にその先を意識しつつも同じ路線を走らない事ばかりに拘って、かえってその事が手枷足枷になってはいないかと
危惧してしまいそうになることです。別に私が心配してもしょうがないことですが、DNAの正当な継承を見ることは誰にとって
も重要な関心事の一つでは有るのです。
2012年01月11日
麺屋マルニ:真栄
猫も杓子も寒い寒いと連呼しておりますが、寒いです。久し振りに雪が鳴ってます。昔はよく雪が鳴いたもんです。思えば昔
は雪だって根性が座ってました。昔の雪は良かった。うん、そう、良かった良かった。たまに食いたいと思った一杯は定休日
です。まぁ、それも人生です。それじゃぁと向った先は「喪中」で暫らく休むそうです。随分と気合の入った喪中のようです。こ
のところこんな調子で、どうにも今ひとつなのは初詣の賽銭をケチった所為なのかもしれません。我ながらまったく考えても
居なかったお店が不意に頭に浮かびます。しっかりした一杯を食わしてくれます。その割には手放しで旨いと言えないのは、
系統がムラナカめいているからなのだと思います。この系統を出しておけばそこそこに客は集まります。白樺山荘や空がい
い例ですが、ラーメンのイメージが捕まえやすいこの系統は最初に考え出したむらなかさんがこの町に財産を残してくれまし
た。そんな中ではこちらは大きくぶれることも無く地元に定着しているのです。この系統のラーメン屋が出ては消えていく中で
この町に残してくれた財産を愉しむ事が出来るのも、この町に住むものとしては有り難い事ではあるのです。そうして、本家
本道のアブラと塩分濃度にちょいと飽きが来たら、こんな風な一杯もこの街にはちゃんと用意されているのです。
2012年01月10日
まるわ:菊水
あれよあれよと言う間に道路の脇は雪の山でそろそろと鼻っ面を出しながら道に出て行くときの怖いことと言ったら大変なも
のなのです。やっとの思いで道に出て走り出したら走り出したで、今度は脇道や駐車場から鼻っ面を出しながら様子を窺うク
ルマが、隙あれば割り込もうと小刻みに動くものだから危なっかしくて仕方ありません。だからと言ってじっとしていたのでは
腹が減るばっかりなので、ラーメンです。12月にオープンしたお店に行って、手馴れた頃合いを確かめてみようかと思った
のですが、定休日でした。それじゃぁと綱取に行くほど、性格は素直ではありません。通り過ぎて反対に曲がったところにあ
るお店です。移転してからは初めてです。元は喫茶店だったのでしょうか、造りがラーメン屋ではありません。厨房が独立し
ているところは寧ろその線で提供メニューを揃えても面白いのではないでしょうか。昔風の醤油です。何処が昔なのかなどと
無粋なことを言ってはいけません。もともと昔風に決まりなどありません。細縮れ麺にワカメが絡みます。「わぁ、マイ箸です
か、あぁ、そういう風になるんですね。」と言うのを無視していたらあっちに行っちゃいました。いいんです、馴れてますから。
2012年01月09日
麺屋高橋:月寒東
そうですか・・成人式ねぇ、あぁそれで今日はお休みなんだ。と三連休の最終日が休業で有る理由が判りました。それにして
も彼が「成人」って、ということはハタチなの。ホントに?こんな事でもないと同じ定休日のお店にはなかなか行けませんから
ね、「凡の風」の店主に続き入店です。今日、本州に戻るという知人に得意顔で「凡の風」を教えていた配偶者がドウシヨウ、
マズイ。モウイッタべかと頻りにぼやいてますが、そう簡単に旨いものが食えると思われたら今後の為にも良くありません。
まぁ、それも人生だと思って貰うしかありません。そんな配偶者がどさくさまぎれに私の選択した味噌と同じ味噌を購入して
います。「あなた、昨日も味噌を食べたでしょ、そんなに毎日毎日、味噌ばっかり食べて、どうするんですか。」とタシナメてい
るところを杉村店主に聞かれます。「ホントにやってるんですか?そんなこと」とわざわざ振り向いて言われます。「いやあな
に、コイツがね、ホントもう大人気無い奴でね・・・」誤魔化しようがありません。先頭で入店した男の子二人を連れた家族連
れが思いの外、好いペースで平らげます。父親が一杯の丼ぶりから子供たちへ小丼二つに取分けします。自分はつけ麺を
食べます。ほぉっ、男の子もこれくらいの年頃になればそれなりに食うもんです。来年になればひとりで一杯行けるようにな
るでしょうか。父親が立ちあがるのと同時に子供たちも立ち上がります。そのペースならもう繁盛店へ連れて行けます。それ
にしても、「お先に、」と言って食べ始めた杉村店主よりも後から食べ始めた配偶者の方が先に喰い終わっています。それは
それで、また別の問題があると思うのです。
2012年01月08日
侘助:元町
然程の信心もないのですが、正月飾りやお札など、どの様に考えても分別回収には出すのが憚られます。学業成就を表向
きのラーメンの神様にお焚き上げをお願いします。此処の神様は何しろ霊験新たかなこと甚だしく、ことラーメンに関しては
外した事が無いと言う噂です。おみくじの横で開運丼ぶりが売られています。妙な時間に寝て妙な時間に起きると妙に眠く
ていけません。こう言う生活を不摂生と言うのでしょうが不摂生も毎日同じように繰り返すと、規則正しい生活になるのでしょ
うか。本日は塩をいただきます。この時期の塩は鶏が立って一段と旨いのですが、余りにこの時期ばかり旨過ぎても一年を
通してバランスが悪過ぎる為、其処は其、何なのです。ですからこの時期はこそっと塩をいただいて観ながらお店お店のス
テイタスも味見させていただくのです。こちらは柚子が数辺入っておりますが、塩味だと余計に生きて来ます。今年もまたこ
の個性溢れる一杯にやられる客が何人も出て来るのでしょうが、不思議と此処の後を追い掛けて来る一杯達が居無いのは
アノ強面の店主の顔が怖いからなのでしょうか。
2012年01月07日
彩未:美園

この街を訪れる観光客達は時計台を見に来たとか羊ヶ丘の羊を観たかったとかそんなことは云わないだろうと思います。今
どき、来ることそれ自体が目的だなんて人は皆無でしょうが、その昔、まだ世の中にお金がたくさんあった頃には有ったので
すが、直に関連業者の陰謀に気が付いて、下火になり、今では飛び火が台湾や大陸からやって来るようなのです。それでも
移動自体が目的の時間潰し等、そうそう許されるものでは無く、新婚旅行だって何が何だかわからないから成立している向
きはあるのです。いきなり何の話かと言うと、ラーメンです。この際、地元民だとか観光客だとかはどうでも良い選別なので
す。この店にやって来る客は見るからに観光客の様な観光客や地元民を装った観光客や観光客に為りすました地元客が
混在しています。この処訪問は公表開店時間前に行くことが多いのですが、目に付いて客層の変化が見られます。開店時
間になる前に暖簾が出ると言う事が知られるようになってきたのだと言う事なのでしょう。今日も一巡目の客が全て入れ替え
になったのは10時52分でした。誰が何と言おうと圧倒的な支持が集まるこのラーメンは間違いなくこの街を代表する一杯で
す。それは全ての点に於いて、合理的にこの街の歴史をなぞり、現代のフレーバーを加味しているからに他なりません。観
光客に成りきってスキーウェアーに身を包み、旅行バッグまで引き摺って行った夫婦もんは「今年も宜しくお願いします。」と
言われて思わずうろたえます。
2012年01月06日
ゆ~大:本通り
毎度のこととは言え雪が降る度に道幅が狭まって毎日が対向車との気合の勝負です。やっぱり来ないわけにはいかない新
店なのです。どうしてなのかと聞かれても困りますが、強いて言えば誰からも頼まれてもいない使命感なのです。誰からも頼
まれていないのだから行か無くったって良さそうなものですが、逢いたくも無いのに魔人Bに会ってしまって聞きたくも無いの
に「○○に行ったことある?えっ、ないのぅ。わたくしこう見えても行っております。ハイ」等と言われたりした日には悔しさに身
悶えして七転八倒、眠れない日々が続きます。このような無法を何時までも放置しておくわけには行かないと思いますが、
本人は至って平気で1月5日オープンなどと書いておいて二日も前に3杯も続け様に食っているという暴挙を行っておりま
す。世が世であれば唯では済まされないところですが、そんなこと本人に言った所で「幾らかくれるのぉ、うぴゅ。」と言うだけ
で人生の悲哀が増すだけなのです。ほんとに自分ばっかしイイ思いをして、ズルイと思いますが、羨ましいと思えないのはど
うしてなのか持って生まれた人徳なのでしょうか。謎は深まるばかりです。いずれにしてもスクープとフライングは紙一重で
すからそんなものはどっちでも好いのですが、立て続けに3杯も食う胃袋の強靭さにだけはノーベル賞飴を差し上げてみた
いと思うのです。そうして昼時と言うこともあってか結構に混み合っている店内は、ラーメンを喰い掛けの客ですら、席を移動
させると言う濃厚なサービスが行われるほどで、一体この人達は期間限定の500円に惑わされたのか、真摯に新たな味を
求めてやって来たのか、それが前者で有れば、390円の処はさぞかし賑わっているのかと覗いてみれば、此れが中々思う
ようにいかない処が商売の難しさなのです。
2012年01月05日
麺や 高野:平岸
新店のオープンが2店です。どちらにしようかと悩みますが、着いた先がスープカレー屋からの転換との事らしいのです。カ
ウンターの中に居たコック服のひとがそうなんでしょうが、スープカレー屋の時には来たことが無いので分りません。駐車場
が6台分確保されているところはそれなりにこの場所で商売をされていることを物語ります。暖簾はありません。ドアを開け
ると其処には何故か“食べスマ”が背広着てラーメンを食っています。この違和感はナンでしょう、登別の時代村でカウボー
イに扮した日本人に出会ったようなものです。これは何処かに面接にでも行くのでしょうか。その食べスマ氏が呟いたのは
随分前だったので、一瞬何故この時間にここに居るのか、はたまた背広の謎は。目まぐるしく脳裏を駆け巡るスリルとサス
ペンスです。たった3席のカウンターに座ります。奥にはどうした加減か壁で仕切られた客席があって、カウンターの後ろに
テーブル席が2卓。食べているのが背広の食べスマ氏と連れと思しき方2名。後はカウンターの前客を含め5人が出来上が
りを待っています。そして私はと言えばダレにどうやって注文しようかと隙を窺うのです。「醤油!」と言ったら「・・・・?こっち
ですか」とメニューを指差します。あぁ、そうかつけ麺と豚骨魚介のどちらも醤油なのかと素早く合点しますが、何しろ二つし
かないメニューですから、右か左で言った方が言いようです。そして、これからが長い、長いと言ったら長い。手元が見えな
いので一体カウンターの中で何が起きているのか状況が掴めません。ここで思い付きます。私の豊富なスープカレー屋経
験からすると、押し並べて出てくるのが遅い、おまけに食う方も遅い。アノ木曜日の提供がラーメン食いからすると極フツー
のリズムで有ることのほうが寧ろ、不思議なのだということなのです。カウンターの客の頼んだつけ麺が、普通盛か大盛りか
で揉めてます。言ったとか聞いてないとか言ってます。見かねたカウンター氏が普通で好いと代替案を出しますが却下され
てます。カウンター氏は譲歩したのではなく待ち切れなかったのだということが分ったのは、カウンター氏が背広の食べスマ
氏の連れだと判明したからです。案の定、食べスマ氏はカウンター氏を残したまま勘定を済ませて帰っちゃいます。残された
カウンター氏はどんだけアズマシクナイつけ麺を食べたことかと思うと、涙無くしては語れません。その一部始終を見終わっ
てもまだ出てこない私の一杯が出てきたのは入店してからきっかり30分が経過してました。お味のほうは流行のピークも一
段落した豚骨魚介の煮干仕立てでは少々特徴に欠ける一杯で、2011年の後追いでは難しいと言わざるを得ないもので
す。然しながらお陰様を以って天候は荒れ始めるは、予想以上に時間は食うわでもう一つの新店には行けず仕舞いとなっ
てしまいます。有り難い事です。まったく。
2012年01月04日
いせのじょう:菊水
漸う、世間も動き出して来たようで、ぼちぼちと人並みな事を考え始めるのですが、生まれてこの方、福袋も買った事の無い
哀しい性分で、中身の見えないものに対する不安感と元来の疑り深さから、世の中にそうそう旨い話など有る訳が無いと言
う単純明快な理由からそうなってしまっているのですが、シャッターの下りたこのラーメン屋の軒先で「ホントにやるの?」と配
偶者に訊かれて、「やる!」っと断言できるほど、自信を持って人生を生きている訳ではありません。そのうち別のクルマが
やって来て、後ろにつきます。「ほらっ、見なさい。これでやらなかったら、ウチが停まっているからなんだからね、アンタの所
為だからね。」っと駄目を押されます。そんな風に非難がましく言わなくっても好いと思うのですが、取り敢えずやらなかった
時の侘びの口上だけでも考えておくのです。そのうち後ろのクルマから旦那と思しき男性が出て来て、店前の貼紙数種を熟
読しております。だけどねそこにはね、本日の営業が有るのか無いのかなんてね、何処にも書いてないの。と密かに思うの
です。遂さっき、配偶者に顎でこき使われ見て来たばっかりです。「うんっ?今なんか通り過ぎて行かなかったか?」と思った
らyonezakiさんが手を振って行きました。ちゃんと前を見て運転して欲しいものです。皆様の温かい声援のお蔭で無事シャ
ッターが開きました。無論、配偶者からの私に対する賞賛の言葉はありません。
テレビ塔の色が塗り換えられるそうです。ようやくあのセンスの欠片も無い色から解放されると思うと、市民の一人として安
堵しております。とは言え10年近くも見慣れてしまうとそれなりに愛着と言いますか慣れと申しますか、まぁそんな気分を振
るい払って、この次は是非ともウルトラマンカラ―で決めて頂きたいものだと思うのです。
2012年01月03日
健松丸:薄野
そろそろ正月料理にも飽きて来てラーメンでも食べてみたいと思う頃です。世間一般の話です。年々、正月気分など希薄に
なって年がら年中、盆と正月が交互に来ている様な生活で、私の様に普段質素な生活を課している身にはとんと縁の無い
話ではあるのですが、正月はやはり箱根駅伝などを見ながらお屠蘇などを頂戴して、駅伝はこの時期、箱根に限るなどとひ
とりごちているのが好いのでしょうが、三日ともなりますとあちらこちらで営業が始まる様で、落ち着いてテレビなど見ている
訳にもいかないのです。正月ぐらいはススキノなどに出て来ませんと、そうそう何度も来るところでもないので、吹雪気味に
降る雪の中、しまった!駱駝の股引を履いて来るのを忘れちまったと気が付いた時には店の前で暖簾が出るのを待ってい
る様でした。思いの外、元気そうな店主は、やっぱり元気な振りをしているのか本当に元気なものか、例のあの顔からは判
りようも無く、元気で無くても旨いラーメンだけはひとつ宜しくお願いしたいと、この期に及んでも、ずっと自分の事を中心に考
えているのは、配偶者です。その配偶者の食べた味噌が本日の拾いもので、京都の製麺屋の麺にあわせたと思われるサッ
ポロの一杯と言った風は、なんとも不思議な出来上がりの味噌ラーメンで、これはこれでオリジナリティを感じさせる仕上が
りなのです。メデタイトキノシオは隣席のE塚さんのものを撮りましたが、年末までびっちり内地でお稼ぎになったと思ったら、
ナンですか、またお出掛けですか、まぁ、なんです、景気のイイ話は大歓迎なのです。
2012年01月02日
凡の風:南8条
まっ、そのなんです、此処に写っている一杯達を見てそのメニューの種類を当てられた人は相当通っている人だと思いま
す。早く心を入れ替えて、その才能を別な事に使った方が好いと思います。世の中が狭いのか思考が短絡過ぎるのかまだ
開店まで間がある店先で、ばったりと配偶者の妹夫婦と遭ってしまいます。正月の二日だと言うのに他に行く処は無いので
しょうか、選りによってラーメン屋の店先で遭わなくったって好いと思うのですが、遭ってしまったしまったものは仕方がありま
せん。腹が減って冬眠出来ずに居る熊に遭うよりはマシと言うものです。なんでも物事は前向きに考えるようにしています。
「去年も此処で遭ったしょやぁ」と言われても、一年も前の事など覚えている筈はありません。若しそれが本当だとすると、こ
の一年間で何一つ進歩することなく同じレベルで有ったのかと言う事に、布団を被って寝込んでしまいそうになるのです。も
とはと言えば、旨いラーメン屋を教えてしまった私が悪いのです。そうです、人生に反省は大事です。ですが、反省ばかりで
対策の立たない人生は無意味です。「ちょっと、なんでそんなに食べるの早いのさ。」そんなことを言われても困ります。そし
てその時気が付きます。こいつらなにか?私の名前が「ちょっと」だと思っているのか。
年末から懸案だった「黒」を店主に無理を聞いて貰います。成程、そうなりますか。麺カタメより楽しいかも知れません。
2012年01月01日
菜々兵衛:川下
元旦からラーメンを食べるようになったのは多分、この店が出来てからだと配偶者が言ってます。年が改まっても相変わら
ず責任転嫁が日常茶飯の夫婦ものです。月並みですが穏やかな正月です。相変わらず分厚いばかりで内容の無い正月版
の朝刊に目を通して、どのチャンネルを回しても退屈なだけのテレビも見飽きたら、ラーメンです。前回の煮干し提供の時は
食べ逃していたので菜々兵衛の煮干しがどう出て来るのか興味のあるところでした。ひとくちに煮干しと言っても魚種によっ
て味が異なる事は当然ですが、一般的にカタクチイワシを使ったものが材料の入手の容易さからも多く使われているところ
ですが、それを豚骨と合せたり鶏と焚き込んだりすることで、それぞれのお店のオリジナリティを作り出しています。鶏のチン
タンとパイタンで一躍人気店となったこの店が、早くから煮干しに着目していることは知っていましたが、メニュー化はしてい
ません。ですから満を持して提供するのか、流行りの便乗なのか正直、食べるのが怖かったのですが、菜々兵衛の煮干し
になっています。旨味を強くすることで魚感を抑え、何と言っても麺線の細さと直麺が最大の武器になっています。極度の加
熱を避けた醤油使いはお澄ましの技でしょうか、心憎いまでの繊細さを愉しませてくれる一杯です。
2011年12月31日
麺屋高橋:月寒東
こう何回も年末を迎えているとそう畏まった感慨もないのですが、流石に今年の年の瀬ばかりは家族みんなが生きているこ
とに有難味を感じずには居られないのです。ですから、500杯も食っちゃイカンだろうと密かに自粛する辺りは私も随分丸く
なったものだと感心するのです。今年の終わりは高橋さんで499杯です。当然、インスタント、自作、試食は含みませんか
ら、極めてスタンダードな数字では無いかと思っています。比較的若い客層の多いこちらですが、本日も精々並び5人ほどと
踏んで、5分前に着く様に向いましたがなんと、店前には既に15人ほども並んでいます。大晦日だと言うのにこの人達は他
にすることは無いのでしょうか。他人事ながら心配になります。12月31日と言えばもう明日は1月1日です。普段何にもしてな
いのだから、遣ることは山ほどあるのです。後で悔やむような事になっても私は知りません。まったく、子供じゃないんだか
ら、ラーメン食ってる場合じゃないと思うのです。それも待ち席で待ってるし。しかもひとりで食いに来てるってどういうことで
すか、大のおとなが昼ひなか、男ひとりで昼飯を喰って居てそれで好いと思っているのでしょうか。アッ、ノエルさんこんにち
は。お一人ですか?あぁ、九条葱が堪りませんねぇ。
今年もお付き合いいただき、有難うございました。皆様方の御多幸をお祈りしつつ、来る年もまた良い年でありますように、
2011年12月30日
侘助:元町、いせのじょう:菊水
まぁ、急ぐわけでもないので昼を廻って暖簾を潜ります。案の定、並んでます。それはそれで好いことなのです。気忙しく時
間が過ぎた午前中は今年最後のラーメンの前に何処のラーメンを喰うか、考える暇も無かったのですが、車に乗った途端に
東区に向ってました。三人連れの二人までが席に着いて隣のアベックに圧を掛けてます。三人連れの残りの一人がアベック
の真後ろに立って、更に圧を掛けます。当然のことながらアベックは泡を食ったようにラーメンを食って、二人同時に立ち上
がります。こいつは好い手を見せて貰ったので今度使ってみようと思います。勉強になります。学習意欲満々の年末です。こ
の人達は今日が年末最後の営業だと知っていて来店しているのでしょうか、だとしたらラヲタみたいで、困ったものです。まっ
たく、来年も益々、愉しみなことです。
矢張りここも今年最後の一杯の前に食べておかなければいけないだろうと、よく滑る道を滑りながらやってきました。挙動不
審者が店の前をうろうろしているので、警察に通報しようかと思いましたが、警察でも嫌がると思い辞めます。挙動不審者は
てっきり食べ終わって出てきた所だと思い、車を停めて中に入って座っていると背中に視線を感じます、只ならぬ殺気に振り
返るとガラス戸に顔を着けるように中を覗く不審者です。店主は何も見ていないかのように振舞っています。前客が帰って店
内にスペースが出来て入ってきました。「もう食い終わったんじゃないの?」と訊くと「駐車場所の空き待ち。」と言ってます。
見掛けに因らず律儀なことをいう魔人Bです。ひとのどんぶりを覗き込んで「デフォ?」と訊いてきます。フツーのひとは大
概、店の出してきたものをそのまま食べるものだとは思っていないようなのです。辛いラーメンの札が見当たらない理由を聞
かずに出てきてしまったのは、動揺していたからだと思います。



